【動画公開】ヒンデミット《2台ピアノのためのソナタ》梨本宮里ピアノ・デュオ
2019年11月2日に公園通りクラシックスにて開催された「梨本宮里ピアノ・デュオContemporary Piano Duo Concert -響鳴-」より、パウル・ヒンデミットの《2台ピアノのためのソナタ》のライブ映像が公開されました。
2020年はヒンデミットの生誕125周年でもあります。
是非ご覧ください。
当日のプログラムノート
「二台のピアノのためのソナタ」は、ドイツ人作曲家ヒンデミットによって1944年に書かれた5楽章制ソナタである。ヒンデミットはバッハやベートーヴェンといった、バロック〜古典派時代の音楽を改めて取り上げて現代風にアレンジしていった作曲家であり、このソナタも古今東西入り混じる独特の世界観の作品になっている。
第1楽章-----Chimes
力強い序奏から始まるがすぐに雑踏のようなカノンから深遠な鐘の響きへ引き込まれ、最後には遠くへ消え去ってしまう。
第2楽章-----Allegro
打って変わって非常に忙しなく、皮肉っぽい印象を受ける楽章。戦争真っ只中という作曲当時の世相も現れているように思う。
第3楽章-----Canon
牧歌的で東洋風のカノンが寄せては去っていく、美しく繊細な楽章。
第4楽章-----Recitative
冒頭に「世の喜び」という13世紀頃の英詩が掲げられている。冬が来てこの世の喜びについて思いを巡らせたとき、すべての喜びはいつか過ぎ去ってしまい、最後にはみな死んでしまうという世の理を嘆き、イエスに助けを求める非常に悲観的な内容となっている。第一ピアノがレチタティーヴォ(語り)を担う、重々しい楽章。
第5楽章------Fugue
この長大なソナタを締めくくるにふさわしい、華々しいクライマックスがある多重フーガ。
文/宮里倫史
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